内外ニュース懇談会 講演要約
講演「日本が抱える問題点とその解決策」
ローソン代表取締役社長 新浪 剛史 氏
9月4日開催の内外ニュース東京懇談会で、
ローソンの新浪剛史社長が「日本が抱える問題点とその解決策」と題し、対談形式で所見を述べられた。
(要旨は以下の通り)
わがローソンは、日本では1万店強だが、海外でも展開している。中国には上海に早くから出てたいへん苦労しているが、重慶、大連にも出ているし、今度は北京にも出る。ほかに大変親日的なインドネシアではジャカルタやバリ、アメリカでもハワイに行っている。将来は、アメリカ本土にも逆上陸をしたい。
消費税増税は、流通をやっている身からすれば、大変厳しいので反対となるが、私としては賛成だ。財政が大変厳しい状況の中で、その解決策を示したこと。何も決められない政治だと世界で思われていた国が、こういった厳しいことを決められた。それも評価されてしかるべきだ。
しかし、この6月から潮目が変わって、売り上げが大変厳しい。とりわけ食品関係は厳しい状況にある。つまり、経済成長のための手を早く的確に打ってもらいたい。とりわけ規制の緩和が必要だ。これは、お金がかかる話ではない。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に日本が入れなかったら、大変なことになる。仮に中国、日本、韓国と3カ国のFTA(自由貿易協定)をやったところで、中国が約束をきちっと守ってくれる担保はない。やはりルールをきちっと決めていくことが大切だ。TPPというとすぐ農業となるが、実は日本の農業は強い。生産レベルにおいても世界の5位以内に入っている。より大きな耕作地で生産性を上げ、農作物をつくっていくべきだ。
経済成長率は落ちたが、それでも3位だ。海外資産を持っている量も、世界でトップ。そういう中で自信を失っているが、例えば農業、医療、福祉といった産業をもっとやっていくべきだ。高齢化社会を乗り切るため、実は予防医学、食べるもの、サプリメントとか、病気にならないとかに、日本は圧倒的に遅れていて、まだまだやれることがある。
私は、ヘルスケアのところは徹底的に狙っていく。例えばローソンでいえば10年かけて、350キロカロリーでおいしくて、それなりに満腹感のある弁当をつくることができた。こういった商品を食べると、疾病の率が減る。日本人の健康年齢と寿命は、実はすごく差がある。例えば男性だと、健康年齢は73歳で、80弱で亡くなる。この健康年齢を高くすることが、最終的には心の豊かさにもつながっていく。そうすると、40兆弱使っている国家予算の医療の金額が大幅に減ってくる。
海外に出かけるたびに、日本のようないい国はないと思っている。若い人にも、ぜひ新しいことにチェレンジしていく国を、一緒に造っていければと願っている。
[外務省サイト内参考情報]
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/index.html
FTA(自由貿易協定)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/
※全文はじゅん刊『世界と日本』1219号に収録されています。
《新浪剛史氏の講演ポイント》
(1)消費税増税の決定は、もっと評価されてしかるべきである。
(2)TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に入るべきだ。日本の農業は、実は強い。
(3)ローソンは今後、ヘルスケアのところを徹底的に狙っていく。
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