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内外ニュース懇談会 講演要約

講演「お客様満足を追求して」

アサヒグループホールディングス株式会社 
相談役 福地 茂雄 氏

2013年11月に開催した東京懇談会で「お客様満足を追求して」と題して講演し、経営の哲学、判断基準などについて縦横に語った。(講演要旨は以下の通り)


 「お客様満足」という言葉が、日本で定着してきたのは、1990年代の終わりだった。
 アサヒビールからNHK、今は新国立劇場とか、東京芸術劇場の仕事をしているが、すべてその「顧客満足」を判断の柱にしており、NHKでは「視聴者満足」、劇場経営では「観客満足」と言っている。

 私は今、「三次元の変化の時代」と呼んでいるが、あらゆる分野で変化があり、変化の間口が広い。さらにその1つずつの変化の奥行きも深い。
 たとえばビールだ。会社に入った時、麦芽が3分の2以上あるものをビールと呼んでいた。それが半分でもいい。発泡酒と呼ぼうとなり、そのうちビール風飲料で、麦芽が全然なくてもいいとなった。ものの20年もたっておらず、変化のスピードが、かつて経験したことがないほど速い。
 インターネットの世界では、人間の生活の4年分の変化が、1年間で起こる。つまり、4倍速だと…。

 そういった中、判断の物差し自体が変わってくる。
 経験則で、前回こうやったから成功したとか、失敗したとかいうのはもはや通用しない。
 今はサイクルではなくて、スパイラルの時代である。ゼンマイ形で前回はない。ずっとつながっている。
 だから、竜巻型に上昇気流に乗るか、アリ地獄型になる。すべてが想定外ばかりである。
 NHKの会長を辞めて間もなく、東日本大震災が起こった。技術担当に「補助電源、自家発電装置は、どうなっている」と聞いた。渋谷の本拠は、地下と地上1階と屋上と3カ所に分かれている。
 ほかに2台の車を、外にいつも出している。1台は動力用。もう1台は、衛星に向かって発信する。発信したのを大阪なり、北海道・札幌で受信して、全国に流すことができる。

 それに今、平均的な存在は許されない。1位、もしくは限りなく1位に近い2位しか生き残れない。勝ち組以外みんな負け組である。
 アサヒビールでは、発泡酒を出すとき、先発メーカーが出して、7年もたっていた。でも、考えを変えてよかった。その年にビール、発泡酒、ビール類をすべてひっくるめて、業界ナンバーワンの地位を勝ち取ることができた。

 NHKの時、相撲協会で不祥事が起こった。相撲中継に対し、なんと1万6000人から「相撲ファンだが、中継はやめるべきだ」「毅然たる態度を取ってほしい」という声をいただき、逆に8000人から「ぜひ続けてほしい」「年寄りの楽しみを奪わないで」というお手紙もあった。
 いろいろ考え、実況放送をやめて、ダイジェスト版をつくればいいとなった。
 6時に相撲が終わってすぐ、ダイジェスト版を編集するのは、現場にとって大変な仕事だが、了解してくれた。11時台と、6時台とは、内容を変えてもらった。それは、視聴者が違うからである。

 東京芸術劇場の館長は今も続けている。震災の年の3月の末、コンサートの切符を2000枚、売り尽くしていた。やるべきか、自粛すべきか、観客にとってどちらがいいか。
 そこで、やることを前提に、やり方を工夫したらどうかとなった。
 3月30日の日、私も慣れない舞台に上がり、お客様に「大変悩みましたが、コンサートを実施することにしました。きょう2000人のお客様からいただいているチケット代は、全額を東北の被災地に寄付いたします」と言ったら、満場の拍手で迎えてくれた。
 よくニーズに添ってと言うが、当たり前のことだ。

 今は、お客様のウォンツ、寝たのを起こすというか、本来心の中にあるニーズを表面化させることだ。
 これの最たるものは、ケータイの世界ではないか。
 1999年にiモードが出るまで、さほど注目されなかった。それがカメラ付きとか、2つ折りとか、メガピクセルだとか、ワンセグから、とうとうスマートホンになった。
 お客様が出してほしいと言ったわけでなくても出すと、待っていたとばかりに飛びつく。
 顧客満足とは、本当はデジタルの世界でなく、アナログの世界だ。
 劇場でも、アンケートをよくやる。それは大事だが、ほんとうは終わってドアをバーッと開けて、お客様が出てきて「ああ、よかったな」とか、「いや、たいしたことはなかった」といった声が大切だ。
 元来デジタルは、アナログを実現する手段で、鬼に金棒がいい。強い鬼が、金棒を持てばさらに強くなる。今は、鬼が金棒に振り回されているのでは…。

 それと今は、コミュニケーション能力だけではなく、視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚の五感も、半分以下に退化してきているのでないか。
 昔は、賞味期限なんて書いていなかった。自分が、味とか臭い、味わってみた舌先とか目でみたこと、視覚とか嗅覚とか聴覚とかを駆使して、賞味期限、消費期限を決めるのが、当たり前だった。
 医者も、まず五感で診察する。患者の顔色をみる。まぶたをパッと裏返して、まぶたの状態をみる。はい、舌を出してと、舌の状態をみる。その次に聴診器を当てて、今度は聴覚を駆使して診察する。その次に触覚で、はい、背中向けて、前向いてとお腹全体をみる。
 事実、某大学のお医者さんの総長に、「触診はものすごく大事なことで、内臓は相互関連がある。1部門だけではなく、胃が悪ければ腸も悪くなる。それは触診の中で分かる」とお聞きした。

 NHK会長を退任する時「福地さん、NHKの視聴者満足はどの程度進みましたか」と聞かれたことがある。顧客満足は、ゴールのない駅伝競争のようなもので、自分が与えられた期間に、どの程度、力を発揮できたかが顧客満足に対する評価だ、と申したことがある。

 

※講演全文は『月刊・世界と日本』1236号に掲載されています。また、要約は週刊「世界と日本」に掲載されています。

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