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内外ニュース懇談会 講演要約

講演
「最近の内外情勢」

衆議院議員 自由民主党副総裁
高村 正彦 氏

内外ニュース東京懇談会4月例会は2017年4月5日、ホテルグランドパレスで行われた。「最近の内外情勢」と題し、自由民主党副総裁としての立場から、総理総裁からの特命を受けた問題について、どのようなかかわりをしたかを中心に語った。


総裁としての任期期数制限の見直し、3年2期から3年3期へ

 副総裁という立場は、各自仕事をしている人たちをバックアップする、応援する、あるいは調整する立場だと思い、そのように心がけて行ってきた。また、時として総裁から特命を受けることもある。今日は最近、特命を受けた問題について、お話ししたい。

 まずは、総理総裁の任期の期数制限について。この問題を一番先に提議したのが二階幹事長で、「安倍総理総裁がこれだけよくやっているのに、3年2期、6年の任期が終わるとやめなければならないのはおかしい」と、お話しされた。

 私は、二階さんは決して安倍さん一人のための特例をつくろうと言っているわけではなく、6年しか認めない期数制限の制度を見直そうと言ったのだと理解した。「全体の任期が制限されている制度は見直す必要がある」と言うと、安倍総裁から「それじゃあ、まとめてくれ」という話がきた。

 そこで党内で、次に安倍総裁に挑戦するであろう派閥の人もメンバーに入れ、15人ほどを選定し、議論した。

 世界の議員内閣制の国で、任期を決めている国はあっても、期数の制限があり、全体として6年までと決めている国は、私が調べた限り一つもない。日本はグローバルスタンダードから、かなりかけ離れた制度を持っている。

 しかも、外交でも存在感を発揮するためには、長く続いたほうがいい。また内政においても、少子高齢化で今後大改革をやらなければならない時に、長くても6年ということだと、大改革はなかなかできない。

 期数制限の見直しに対し、党内では「なぜ今なのか」という人はいたが、本質的に「これはだめだ」という人は一人もいなかった。また、15人のメンバーで議論している中で、「期数制限すること自体がおかしい。撤廃すべきだ」という人と、「期数制限はあってもいいが、3年2期では短かすぎるから、3年3期にすべきだ」という意見に分かれた。

 私は安倍総裁に「意見が2つに分かれていますが、3年3期で勘弁してください」と言うと、「お任せします」と言っていただいたので、3年3期ということになった。

 

天皇陛下退位の問題について、党内の意見をとりまとめる

 天皇陛下の退位の問題についても、安倍総裁から「党内の意見をまとめてほしい」という特命を受けた。この時は「静かに決めなければならない」という要請があったので、党の役員15人と、私が頼んで野田毅さんに入ってもらい、私を含めた17名で議論した。

 天皇陛下の退位のお言葉があって、国民の多くが天皇陛下のお気持ちを察し、退位させてさしあげたいと思ったことは、間違いないと思う。世論調査で見ると、「一代限り特例法で退位を認める」と、「皇室典範を改正して全ての天皇に退位を認めるような制度をつくるべきだ」という意見があったが、後者の意見の方がずっと多かった。

 しかし、全ての天皇に退位を認めるという制度をつくると、退位を認める場合の要件を法律に書かなければならないが、具体的に書くのは極めて困難、不可能に近い。

 また、「皇室典範を改正して、制度として全ての天皇にあてはまるような法改正を行うべきだ」と言ってきた党の、退位の要件を見ると、次の3つになる。(1)皇太子が青年に達していること。(2)天皇陛下の意思。(3)皇室会議の決議。(1)は問題ないが、(2)は、退位というのはある意味で大きな政治的行為であり、それを天皇の意思にかからしめるというのは、私は憲法違反だと思った。(3)は、国の政治は三権分離で行うことになっているのに、その3権でない皇室会議に、それ以上の力を持たせていいのかと思う。

 このような議論の中で、「一代限り退位を認める」という「一代」に抵抗を覚える人もいるので、「今、今上天皇陛下に認めるという法律をつくることで、先々の天皇陛下の先例になりうる」ということを、私は申し上げた。

 結局は皇室典範第4条の「皇位の継承は天皇陛下の崩御されたときに継承が起こる」ということの特例として、今上天皇陛下の退位を認める法律をつくり、これは後々の先例になるということで、衆参議長、副議長の下で各党の話し合いがまとまり、自由党を除けば、各党の意思もまとまった。やっと九十九里来たところだが、あと一里が難しいところで、大型連休明けの5月に天皇陛下の退位を実現する特例法案を国会に提出する方針だ。

 

平和安全法制の与党内協議

 もう一つ、私が安倍総裁から受けた特命は、いわゆる平和安全法制の与野党内の協議であった。

 アメリカの大統領選挙中に、トランプさんが、「アメリカは日本を守るけれども、日本はアメリカを守らない。こんな不公平なことはあるか。どうしても守ってくれと言うのであれば、その時は駐留経費を全てもて」ということを言った。

 私はそれを聞いた時に、「ああ、平和安全法制を成立させておいて、本当によかった」と思った。なぜなら、それまでは日本を守るために働いているアメリカの軍隊ですら、日本は守ることができなかったからだ。

 朝鮮半島がきな臭くなり、日米安全保障条約に基づいて、アメリカの艦船が動いている。そこにどこかの国が襲撃してきても、それまでは日本の自衛隊は、法律上守ろうと思っても守れなかった。

 しかし、平和安全法制の成立により、一部であろうとも、「日本もアメリカも守りますよ」と言えるようにしておいて、本当によかったと思った。

 これは集団的自衛権の一部容認であるが、集団的自衛権は個別的自衛権とともに、国連憲章により全ての国連加盟国に認められている権利である。しかし「日本国は憲法において、その集団的自衛権を行使することを自ら制限している」というのが、それまでの政府の解釈であった。

 昭和34年に出た砂川判決は、自衛権に触れたただ一つの最高裁判決だ。その判決で大法廷の裁判官15人一致で、「憲法9条2項にもかかわらず、全文の平和的生存権を考慮に入れれば、国の存立を全うするために必要な自衛の措置をととりうることは、国家固有の権利として当然である」と言っている。

 この「何が国の存立を全うするための必要な自衛の措置か」を考えるのは、最高裁判決が、「こういう高度な政治的問題は、国会と内閣に委ねる」と言っている。そのため国会議員の端くれである私は、一生懸命、何が自衛の措置かを考え、今の安全保障環境に基づいて、「こういうのがある」と示した。その中に国際法上、集団的自衛権と言わざるを得ないものがあるので、その限りで集団的自衛権の一部を認めることになる。これがいわゆる集団的自衛権の限定的容認論である。

 

「テロ等準備罪」法案の国会審議入りについて

 最後にもう一つ、私は直接かかわっていないが、近く国会で審議入りする「テロ等準備罪」法案についてお話ししたい。

 この法案は国際組織犯罪防止条約、いわゆるパレルモ条約という、随分前にできた条約を締結するために、その担保として国内法制を整備しておかないと、条約を締結できないという法律である。日本以外の全ての先進国は、すでに国内法が整備され、条約を締結している。

 今までこういう治安関係の法律や安全保障の法律が出てくると、必ず不安を煽る人がいる。例えば平和安全法制の時、「こんな法律をつくったら徴兵制になる」と主張した政党がたくさんあった。今もその主張を維持しているのか、聞いてみたいものである。

 この法律は、たいていの先進国は計画共謀段階で罪に問うているが、日本はもう少し要件を厳しくし、準備行為の段階で罰するとしているが、それでも「内心を罰する」、「監視社会になる」「人権侵害国家になる」ということを言っている人がいる。そうすると日本以外の先進国は、みんな監視社会なのか、人権侵害国家なのであろうか。不安を煽るのも、いい加減にしてほしいと思う。

 しかも、法務省のスペシャリストが検討段階であり、まだ金田勝年法務大臣は法案の全体の説明を受けておらず、了承しているわけではないのに、野党は国会でいろいろ細かく金田法相に質問している。そして大臣が答えられないと、法案がおかしいと不安を煽る。

 私は基本的には「二大政党論者」であるが、このような状況を見ていると、まだまだ二大政党になるには、「日暮れて道遠し」という感じがしている。日本の議会政治は、これからずっと続くわけで、日暮れているわけではないが、「まだまだ大変だな」という感想をもっている。 

※講演全文は月刊『世界と日本』1277号に収録されます。また、要約は週刊「世界と日本」NO.2101号に掲載されます。

※講演の動画・資料は会員限定で「内外ニュースチャンネル」でご覧頂けます。

https://www.naigainews.jp/懇談会/懇談会動画/動画-高村氏201704-会員専用/

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