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    Coffee Break<週刊「世界と日本」2288・2289号より>

    スポーツの役割と公的支援を考えた

     

     

     

     

     

     

     

    尚美学園大学 教授

    佐野 慎輔 

    《さの しんすけ》

     1954年富山県生まれ。早大卒。産経新聞編集局次長兼運動部長、取締役サンケイスポーツ代表などを経て現職。産経新聞客員論説委員、笹川スポーツ財団理事・スポーツ政策研究所上席特別研究員、日本スポーツフェアネス推進機構体制審議委員などを務める。近著に『スポーツの現在地を考える』共著(ベースボールマガジン社)など

     この稿がお目に留まる頃にはもう2025年度予算は成立しているだろうか。昨年12月に閣議決定したスポーツ庁の予算は363億円。概算要求436億円からは削られたものの前年度予算より2億円増加している。

     このスポーツ庁予算は多いのか、それとも少ないか。2025年1月1日現在の総人口1億2359万人で割ると1人あたり約294円。スターバックスで飲むコーヒー(ショート)1杯380円にも満たない。

     もとよりスポーツは個人の領域に属する。する・しない、みる・みない、スポーツ施設を利用する・しないは個人の志向である。受益者負担が当然で、国や自治体が関与するのはいかがなものかとの意見もなくはない。

     一方で大リーグ、ロサンゼルス・ドジャース大谷翔平の活躍は停滞する日本社会を明るく饒舌にし、社会現象となって久しい。新型コロナウイルス禍下での東京2020、続く2024年パリオリンピック・パラリンピックにおけるアスリートの躍動に「勇気、元気をもらった」とする声は少なくなかった。進む高齢化に伴う健康長寿の延伸、医療費削減に向けたスポーツの役割は大きい。過疎化が進む地方ではコミュニケーション再生の手段としてスポーツに大きな期待がかかる。さらにスポーツをすることで育まれるだろう自己管理や協調性、忍耐力や闘争心、あるいは統率力、思いやりなどは人として大切な資質となる。まさにスポーツは公共財にほかならない。公共財に国が政策として関わり、財政支援を行うことに何の不思議があろう。

     

     1990年代の「失われた10年」によって企業支援も減少、国際競争力を落としたスポーツ界は政治を頼った。施設整備と財政支援を求める声に、ようやく国が乗り出したのは20世紀末、1998年長野冬季オリンピック・パラリンピック開催後である。議員立法として「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」が成立し、2000年から「スポーツ振興くじ(通称toto)」が発売された。2001年に文部省が文部科学省となり、スポーツと科学研究とを結ぶ「国立スポーツ科学センター(JISS)」が創設された。しかし2002年度の文部科学省スポーツ予算は122億円。文化庁予算が1000億円を超えるのは2003年度からだが、それでもスポーツ界は文化予算をうらやんだ。

     やっとスポーツ界が活気づくのは2007年以降である。低迷から廃止論も出ていたtotoがBIG投票導入によって売上げが急増し、財源として確立。2008年には韓国にも後れをとったナショナルトレーニングセンター(NTC)が創設され、2010年文部科学省「スポーツ立国戦略」策定によって歯車が音を立てて動きだした。

     

     「する」「みる」「ささえる」を通した「新たなスポーツ文化の確立」を掲げる立国戦略のもと、2011年にスポーツ基本法が制定された。1961年制定のスポーツ振興法改定の形をとった初の理念法には、国民の権利としての「スポーツ権」と政策推進における「国および自治体の責務」が明記された。

     この基本法と2012年の第1期から5年ごとに改定されるスポーツ基本計画によって具体的な方策が示され、2015年には実施中枢としてのスポーツ庁が発足。初めてパラリンピックがオリンピックと同様に文部科学省次いでスポーツ庁管轄となって、障害者スポーツを含む環境整備が進んだ。

     この間、スポーツ予算は武道必修化が始まった2009年度に225億円と初の200億円台に乗せ、スポーツ庁発足後の2016年度には323億円まで伸びた。文化庁予算が2024年度1062億円と横ばいが続いたことに比べ、急速な伸長である。

     

     慌ただしいまでのスポーツ活性化の背景に政治の思惑があったことは否定しない。スポーツを盾に経済格差や社会不信から目を背けさせる“パンとサーカス”だと批判する向きもある。しかし公共財としてのスポーツに目を向けさせ、トップアスリートの国際的な活躍と東京2020大会、2019ラグビーワールドカップ開催が「国民の高揚」に貢献したことは間違いなかった。スポーツ立国戦略の基となった2007年公開の通称「遠藤レポート」、すなわち当時の遠藤利明文部科学副大臣の諮問機関による報告書の役割の大きさとともに、特筆しておきたい。

     いまスポーツ界はそうした国際競技力向上と意識高揚の好循環の帰結を迎え、新たな好循環を創り出す分水嶺にある。社会の中でのスポーツの存在感、スポーツ本来の持つ「楽しさ」「集まり、つながる」力の社会への還元である。前述した社会課題解決の手段としての役割だと言い換えてもいい。

     

     進む少子高齢化と人口減少、地方の疲弊に対して活力を生み出せるか。地球の沸騰で環境問題への対応策や共生社会、ジェンダー平等の推進に何ができるか。AI(人工知能)とICT(情報通信技術)の進歩はスポーツにも革命をもたらしたが、一方で誹謗中傷やフェイクニュースが広がる。スポーツは何かロールモデルを構築できないか。それがウェルビーイングを導く手立てともなろう。

     いまスポーツ基本法は時流の変化に合わせて14年ぶりの改定作業が進む。財政負担に苦しむ地方自治体の強い要望から国民スポーツ大会のあり方が問われ、教師の働き方改革に端を発した部活動の地域展開は実験から実践へ、次のステップにはいった。経済格差、地域格差が問われるなか、共助を進めるためには財政面での裏付けがなくてはならない。

     スポーツ振興くじの適用範囲の拡張とスポーツベッティング導入には障壁が山積、企業支援の増大には限度がある。公的支援の増額は不可欠である。閣議決定された2025年度予算案は115兆5415億円で、うち文部科学省一般会計予算は5兆4029億円。スポーツ庁予算はその0・7%に過ぎない。 

     

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