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2012年12月
北朝鮮の弾道ミサイル発射実験
岡崎研究所 理事 金田秀昭 氏 (元海上自衛隊護衛艦隊司令官)

北朝鮮は国際社会の中止要請を無視する形で人工衛星打ち上げと称する弾道ミサイル発射実験を行った。今年4月の失敗から僅か8ヶ月、打ち上げには不向きな酷寒期を選び、一旦延期かとのトリックまで使って強行した裏には、金正恩の権力継承の正当性顕示の強い思いがある。何らかの物体を極軌道に乗せたのは事実であり、米国本土にまで到達する長射程弾道ミサイルの完成に一歩近づいたと言える。今後イランなどと連携しながら核兵器の小型化や更なる弾道ミサイルの開発意欲を益々高めるであろう。米国は固(もと)より日本の安全保障にとって重大な挑戦となる。動きの鈍い中国も巻き込んで外交圧力を強める一方、日本自身や日米共同の防衛体制強化が必要となる。