創業三十五周年記念懇談会 祝辞
元内閣総理大臣・海部俊樹氏
民族として大切なもの
おめでとうございます。35周年というのは大変な年月だったと思います。清宮さんにはいろんなところでご教示いただいた。国会議員になって7、8年の頃、田中角 栄先生がこういわれた。
海部お前もな、これか ら長くやるには演説の中に数字を入れることを心掛けろ。ただし初めの2桁だけは正確に覚えていえ。あとの3桁は少々間 違っても、聞いている方 だって知らない人が多いだろうと。
内外ニュースが産声を上げる5年前の昭和42年、その年の国の予算は3兆6580億8000万円。3兆6500というのは1年と覚えておけばよい。それで「ネンジュウ」、8080は「ヤレヤレ」。輸出と輸入がバランスして、日本経済の底力がついた。さあ頑張れよと。 そう覚えて一生懸命話してきた。
私が初めて国会に出た頃、中曽根(康弘)さんが憲法改正の歌というのをつくった。「ああ戦いに打ち敗れ/敵の軍隊進駐し(中賂)占領憲法強制し/祖国の解体計りた り」。これが本音であっ て、いい憲法をつくれとみんなで議論していた時代だった。
自民党の憲法草案をたたき台として、民族として何が大切かを考え、頑張っていくつもりだ。
清宮会長には、私どもがつらい時も応援してもらった。あなたの署名記事で、今でも額に飾ってあるものが一つある。引き続きご指導をいただきますよ う、心からお願いしてご挨拶といたします。
(週刊「世界と日本」1766号 3面より)