創業三十五周年記念懇談会 祝辞
元内閣総理大臣・森喜朗氏
軽々しい政治家の“ご意見番”たれ
35周年おめでとうございます。私は国会に出て38年。ちょうど2期目に清宮さんが内外ニュースを始められた。ここにおられる海部さんは当選回数16回で最古参。次が議 長の河野洋平さんで当選14回。3番目が私で当選13回だ。
10回から9回というところに変動があって、亀井(静香)さん、平沼(赳夫)さんのような立場で、動揺をきたした。どこから動揺かきたかというと、やはり小選挙区制だ。日本の政界の模様が大きく変わった。
今の国会議員にゆとりがなくなった。自動車の問題なら負けない、農業なら絶対俺だという専門家が、議員の中に随分いた。最近はいない。中選挙区ならば同じ選挙区に自民党議員が何人もいたから、俺はこの問題だけやるということを、選挙区の人が認めてくれた。
そういう政治家をマスコミは族議員だといって、あたかも悪いという印象を与えて排除するような形になった。小選挙区制になるとオールラウンドプレーヤーでなければならなくなったから、 あっちにもこっちにも顔を出す。自分の意見はいうが、人の意見をじっく りと聞くことができない議員ばかりが増えた。
たえずマスコミを意識 し、テレビにやたら出たがる。小選挙区制は51%とらなければいけない。だ から政治家が何か軽々し くなった。
清宮さんはこれから も永田町の立派なご意見番として、そういう政治家たちをしっかりご指導ただければと思います。
(週刊「世界と日本」1766号 3面より)