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内外ニュース懇談会 講演要約

講演
地方から創生する我が国の未来

衆議院議員・国務大臣
地方創生・国家戦略特別区域担当
石破 茂 氏

2015年4月20日に開催した内外ニュース東京懇談会で、「地方から創生する我が国の未来」と題して講演し、これからの地方の在り方・諸施策に関し、強く熱く語った。

『地方から創生する我が国の未来』
2015.4東京懇談会石破茂大臣講演資料.pdf
PDFファイル 4.7 MB

 ご紹介いただきました地方創生担当国務大臣の石破でございます。

 昨日、幾つかの報道機関から、いろいろな調査の結果が出ており、内閣支持率も、わが党の支持率も高い。そして今、統一地方選挙もありがたい結果をいただいている。

 しかし、私どもの至らぬところがあって、3年半、野党を経験した。いろんな理由があるが、一言で言えば、国民の感覚と自民党の感覚が相当に乖離していたということだ。

 なぜわが党は政権を失ったのか、よく反省し、分析し、改善するようにしてきた。そしてもう一度立ち止まってみて、政権与党であることは手段であって、目的ではないと。ではわが党は何をする政党なのか、もう一度徹底的に議論し、新たな党綱領をつくり、今、政権に戻ってきたところだ。

地方創生で国家を立て直す

 今、わが国は2020年のオリンピックを目指し、一種の高揚感のようなものがある。

 1964年のオリンピックが、日本復興のシンボリックな出来事だったとすれば、2020年のそれは、長く低迷の状況にあった日本経済、あるいは国際社会において日本国が果たすべきいろんな役割、そういうものが復活するシンボルだという受け止め方が、国民の中にあるのだろうと思う。そして、それはとても大事にしなければいけない。

 ただ、われわれが正面から見据えてこなかった、あえて語ろうとしてこなかった不都合な真実もまた、たくさんあったのではないだろうか。それらも直視しなければならない。

 そして、つらく苦しいことであっても、それらを解決するためにはどうすればいいかを国民に向けて語らなければならない。そのために私どもは、この高い支持率を最大限活かしていかねばならないと思っている。

 「増田レポート」というのがある。増田寛也元総務大臣、元岩手県知事が一昨年の11月に発売された『中央公論』12月号で、その名も「壊死する地方都市」という題名の論文を発表された。

 それ以来、地方創生がクローズアップされるようになったのだが、あの論文のすごさは、1800程度の全国すべての市町村で、今のままで行った場合の、25年後の2040年における20代〜30代の女性人口の予測を明らかにしたことだ。

 これら世代の女性の数が8割減る、7割、6割減るという市町村が、たくさんあるわけで、それらの地域はこのままでは、地域としての持続可能性を持ち得ないであろうということである。

 そこで、地域の実情については霞が関や永田町でわかるはずがないのだから、「それぞれの地域を、これから先5年間でどのようにしますか」という地方版の総合戦略を、全国すべての市町村でつくってください、としたのが、昨年の解散直前に成立したいわゆる「地方創生法」という法律の最大の眼目だ。

KPI、PDCA、産官学金労言

 これから先5年間の計画をつくるにあたり、総合戦略の幾つかのキーワードがある。

 1つは、KPI(キー・パフォーマンス・インジケーター)。いったい何を達成しようとしているのか。人口なのか、定住人口か、交流人口なのか。あるいは出生率か、観光客の数なのか、宿泊客の人数なのか、というような数値目標を掲げて頂きたいと考えている。

 2つ目は、行政ではなかなか浸透していない「PDCA」という言葉である。プランのP、実行するDoのD、点検するチェックのC、新たな行動を起こすアクションのA。戦略を作るだけでなく、このPDCAサイクルがきちんとワークさせられるかどうか。

 3つ目のポイントは、“産官学金労言”。

 “産”は地域における産業界、商工会など。

 “官”は県庁、市役所、町役場の役所。

 “学”は地方大学、高校の学者や学生さん。

 “金”は地方銀行、信用金庫の金融機関。

 “労”は労働組合。女性の就労率を高め、女性の働き方を変えることは、男性の働き方を変えることでもあり、それは労働協定などに直結するはずだ。

 “言”は言論機関、地方から情報発信をされている方々。

 つまり、総合戦略の策定は市町村、役所だけでやることではなくて、どれだけ大勢の人、多種多様な方々が参画するかが大切だ。

 “産官学金労言”一体の体制をつくり、来年の3月31日までにすべての都道府県、すべての市町村に、そういう総合戦略というものを立ててください、というお願いをしている。

 地方創生というのは、単純に東京や首都圏の富を地方に移転しよう、ということを考えているわけではない。もっと大きな視点で、これから先、国家をどのように立て直すか、ということを考えていく。

 国家が生存していくうえで必要不可欠なものは何か。食糧でありエネルギーだ。そこで大事なのは、自給率ではなくて「自給力」であると考えている。

 どうやって自給力を上げるのか。農地や農業人口をどれだけ確保するのか、あるいは、農業インフラがどれだけ維持されるのか等々、きちんと語っていかなければならない。

 また、再生可能エネルギーの供給量をどれだけ上げていくかというのは、地方の力を国全体に裨益させることでもあると思っている。これをどのように最大限発現していくかについても、その環境整備を急がねばならない。

 私どもとして、財政規律の回復と、全国津々浦々まで景気回復の温かい風を届けることは優先目標だ。しかし、5年先10年先に、いかなる日本の国をつくっていくのか、ということも同時に示していかなければならない。

 今を生きる私たち日本人は、この国家をつくってくださった、いにしえの方々に、そして、みることがないであろう次の時代の人々に、いかなる責任を果たしえるのか。

 また、日本国が多くの課題を抱える先進国であるが故に、世界に対して、どのような解を示すのかが、今を生きる日本の責任であると考えている。

 

※講演全文は月刊『世界と日本』1251号に収録されます。また、要約は週刊「世界と日本」2053号に掲載されます。

 

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